会長挨拶

齋藤 貴徳
(関西医科大学 整形外科学講座 主任教授)

会長写真

この度、日本臨床神経生理学会学術大会第50回記念大会を、2020年11月26日(木)から28日(土)の3日間国立京都国際会館におきまして、開催させて頂く運びとなりました。併せて第57回日本臨床神経生理学会技術講習会を11月27日(金)から28日(土)に開催させて頂く予定です。伝統と長い歴史を持つ日本臨床神経生理学会の第50回記念大会を主催させていただくことを心より光栄に存じております。本学会は筋電図学会と脳波学会が昭和46年に合流し、脳波・筋電図学会になったのが始まりです。その後、より広い分野での議論を尽くすべく平成12年には名称を日本臨床神経生理学会と変更し現在に至っております。当初より、電気生理学的手法は神経系の機能を評価可能な唯一の手段として、その新たな技術開発、記録波形の起源の同定などに本学会が大きく貢献してきたことは周知の事実でございます。神経や電気生理学というキーワードで結ばれた各研究者が、臨床的専門性を越えて集学的に議論するという我が国においても稀な環境を提供し、その発展に寄与してまいりました。関連する科は脳神経内科、精神科、脳外科、整形外科、リハビリテーション科、小児科、耳鼻科、麻酔科、臨床心理科、臨床検査科など非常に多岐にわたっておりますが、逆に同じ現象でも専門科によっては大きく見方が異なることもあり、お互いに切磋琢磨しながらより高いレベルへと昇華させ研究を発展させてまいりました。

学術大会のテーマは “臨床神経生理学の50年を振り返るーそして未来へー“ とさせていただきました。今年は本学会が現在の名称になって50年という節目を迎えました。これは多くの偉大な先達の先生方のたゆまぬ努力の結果得られたもので、我が国で電気生理学に関連した多くの分野で世界をリードする研究成果を積み重ねてきたことは国際的にも注目されております。我々は今年この節目を迎えるに際し、現在の本学会会員の皆様全員でこれまでの本学会の歴史を振り返り、過去を学ぶことによりさらなる発展につなげていく機会にしたいと思っております。

今後本学会に参加する研究者が一層増加するよう、新たな企画を致しました。これが関連学会との合同シンポジウムです。本学会員は多くの母体となる学会をお持ちであるとともに、分野によっては多くの関連学会にも所属されております。この関連学会で活動されている研究者の中には当学会の存在をご存知ない先生方が多くおられますが、実際には当学会とも少ないながらも関連する研究をされている方が多くおられます。そこで、今回はこれらの研究者の皆様に本学会を知っていただき、今後当学会にも研究発表や持論の場を持って頂くために、これまでは本学会では取り上げることのなかった各関連学会との境界領域のテーマを合同シンポジウムとして取り上げ、本学会の未来に向けての発展につなげたいと思っております。現時点では20前後のテーマを取り上げる予定で、各関連学会との調整を行っております。是非、本学会員の皆様もこの合同シンポジウムに注目していただき、ディスカッションに参加して頂くことにより皆様方の研究の発展につなげていただければ幸甚に存じます。

このようなシンポジウムを新たに組むこともあり、これまで本学会に参加していなかった皆様が参加する可能性もあることより、今年の学会は特に教育にも注力したいと思っております。具体的には、現在主催セミナーとして年一回開催されている筋電図セミナー、脳波アドバンスセミナー、脳脊髄術中モニタリングセミナーの3セミナーを約半日に集約し主として初心者向けに本学会期間中に再現する予定です。また、これ以外にもハンズオンセミナーを20前後開催できるようセミナー室を確保しております。皆様方からの提案をお待ちしております。毎年好評なベーシック、アドバンスレクチャーもさらに進化させて多くの分野を網羅する予定です。

第50回記念大会の事業と致しましては、初日にはこれまでの本学会理事長によるシンポジウムを、2日目にはノーベル賞を受賞された京都大学の山中伸弥教授の研究成果をシンポジウムで再現して頂くため、iPS細胞を用いた臨床応用のシンポジウムを予定しております。脊髄再生、パーキンソン病治療、角膜再生、心筋再生などの我が国における第一人者に参加していただき、我が国のiPS医療の未来を語って頂く予定です。さらに、本学会の50周年記念事業委員会を中心に記念誌の作成が現在行われておりますが、本委員会と協力して本学会中に展示する、本学会の歴史を振り返るパネルを作成し、ポスター会場・休息室に展示する予定です。是非、会員の皆様には注目してご覧頂いただき、本学会の長い歴史を振り返っていただければと思っております。

今年の学会は私の専門分野の一つである術中モニタリングの国際学会7th ISIN(International Society of Intraoperative Neurophysiology)の会長を拝命しており、同時開催とさせていただいております。多くの外国からの研究者が参加する予定ですが、JSCNも英語のホームページを作成し外国からの演題受付も行い一つの会場を英語セッションとして走らせる予定です。また、この国際学会とはお互いの学会の参加者が両方に参加できるよう特別料金を設定することも考えております。

現在、約3700名の会員を擁する本学会ですが、今年の総会は現会員の皆様が本学会の歴史を振り返る絶好の機会だと思っております。是非、会員の皆様全員が京都に集合していただき、本学会の活動を内外に周知していただく機会とさせていただきたいと思っております。折しも、この時期の京都は観光のベストシーズンです。野山をはじめ、寺院も紅葉に彩られ美しい日本の伝統美を楽しんでいただけます。宿泊施設も十分な量を確保しておりますので会員の皆様におかれましては、是非京都で行われる第50回記念大会にご参加頂き知識と教養を深めていただく機会となれば幸甚に存じます。

私自身は整形外科出身としてこの記念大会を主催させていただくことは大変光栄であるとともに、その大きな責任に身の引き締まる思いを感じております。このため、私自身の不勉強を補うため、脳神経内科、精神科をはじめとする多くの学会出身の代表の先生方に早くから大会運営に加わっていただき、出身科にかかわらずお力添えを頂いております。また楽しんで勉強になり、その後の研究に資する学会にしたいと言う思いで関西医科大学整形外科学講座の医局員、同門を挙げて全力で準備を行っております。合い言葉は “全員集合!“ です。名誉会員、理事、代議員の皆様をはじめとする会員の皆様には周りの非会員の先生方もお誘い合わせの上、ご参加頂き、本学会の歴史的通過点を一緒に体験し、また目撃者となっていただき、これからの新たな50年のスタートを多くの先生方とともに切りたいと思っております。

最後になりましたが全学会員の皆様のさらなる発展と本学会が未来に向けて更なる深化を遂げることを祈念し、大会長の挨拶とさせていただきます。合い言葉は “全員集合!“です。本年11月に多くの会員の皆様と京都でお会いできますようご参加を心よりお待ち申し上げております。