理想的な社会に向けた 交通文化
もともとGIFTS(Global Interactive Forum on Traffic and Safety)は、我々IATSSが、40周年を迎えた10年前に、理想的な交通社会を目指した議論を深め、さらにその議論を国際的に発信していくためのプラットフォームとしてスタートしました。そのGIFTSは、今回、第10回の節目を迎えます。
第1回のGIFTSでは“Diverse, Regionally-Rooted Transport Cultures”というテーマを掲げました。安心安全な交通社会に向けた施策を実施していくためには、それぞれの国や地域に根差した文化を勘案して進める必要があると考えたのです。このような考えの下、過去9回のGIFTSでは、交通文化というキーワードをテーマに掲げて議論を深めてきました。その中で、交通文化の定義を整理し、道路利用者の行動と、交通安全に関わる人や組織の活動を探り、世界各国が共同して交通事故削減に向かうことを目指して、議論を深めてきました。今回の第10回のGIFTSは、その議論の集大成の位置づけであり、さらにこの先に、モビリティを通じてウェルビーイングを高めていくために私たちが何をしていくべきかを議論するスターティングポイントだと考えています。
本年度のGIFTSでは、二つのディスカッションを予定しています。前半のパネルディスカッションでは、安心安全なモビリティ社会に向けて、世界の各地域でどのような研究、交通安全対策、政策が必要になるのかという点をカントリーファクトサーベイデータに基づいて議論します。そして、後半のワークショップでは、前半で議論されるような科学的知見に基づいた議論を世界各国で具体的な政策展開へつなげるために、国際社会の中で社会実装するための課題や解決の方法について議論します。また、これらの議論の中で、我々IATSSの今後の展望についても示唆を得たいと考えています。
前述のとおり、今回のGIFTSの議論は、これまでの10年間の集大成であり、次の10年に向けた議論のスタートとなると考えています。持続可能な社会を構築するにあたって、モビリティの分野からできることを考えるために、我々が作り上げてきたGIFTSというプラットフォームを進化させ、次の10年間を見据えた国際発信の場になることを期待しています。