一般社団法人 日本心エコー図学会 第31回学術集会

会長挨拶

田邊先生
一般社団法人日本心エコー図学会 第31回学術集会
大会長 田邊 一明
島根大学医学部 内科学第四

一般社団法人日本心エコー図学会第31回学術集会を、島根県松江市のくにびきメッセにて2020年8月14日(金)から15日(土)の日程で開催させていただくことになりました。このような貴重な機会を与えていただいた本学会ならびに関係の皆様に心より感謝申し上げます。

今回の学術集会では「縁は一生、心エコーも一生:Lifetime connections, life for echocardiography」というテーマを設定しました。

私自身、医師として駆け出しの頃より心エコー図診断装置の進歩とともに歩んできました。その間、多くの師との出会い、ご縁に恵まれ、そして本学会を通じて成長することができました。時代の変遷とともに循環器疾患治療の進歩もあり、循環器領域の興味は冠動脈カテーテル治療、不整脈に対するカテーテルアブレーションなどの治療手技に移っていったかのようでした。しかし、今、心エコー図法に追い風が吹いています。心不全の診療において心エコー図はもっとも重要な診断的検査です。Structural heart diseaseに対するカテーテル治療には心エコー図が必要です。腫瘍循環器病学の進歩が心エコー図による心機能評価を必要としています。先天性心疾患の90%以上は成人となり、成人先天性心疾患の重症患者は循環器内科医が管理しないといけない時代になります。心エコー図法も学ぶ、かつては当たり前であったバランスの取れた循環器内科医師像が再び理想像として描かれる時代です。Mayo Clinic留学時代の師であるJames B. Seward先生の「心エコー図の進歩についていけるようにすべて勉強しなさい」の言葉の通り、心エコー図法は一生勉強していく必要があります。心エコー図法を学ぶことを通じて出会う一生のご縁に感謝し、本学会は一生をかけて学ぶべき心エコー図法の一瞬を切り取った時間として開催させていただきます。本学術集会が新しい心エコー図との出会い、心エコー図法の発展につながることを期待しています。

島根は目まぐるしく風景が変わる都市部の街とは違い、何も変わらずそこに在ることに安心します。出雲大社をはじめ、神々にゆかりの深い場所がいたるところに残り、自然と人の関わり、人と人の結びつき、目には見えない様々なつながりを肌で感じることのできるところです。心エコー図に関わる多くの皆様にご参加いただき、「ご縁の国しまね」への旅で良き出会い、良きご縁がありますよう願っています。