第41回日本中毒学会総会・学術集会

会長・副会長挨拶

会長挨拶

第41回日本中毒学会総会・学術集会 大会長:上条 吉人

第41回日本中毒学会総会・学術集会の大会長を賜り大変光栄に思っています。最初に理学部化学科を、次に医学部を卒業し、精神科医として研鑽してから救急医となり、まっさきに急性血液浄化法にのめり込んだ私にとって、「臨床中毒学」をサブスペシャリティとし、日本中毒学会を学会活動の中心とするのは宿命でした。まだ研究会だった平成5年の総会・学術集会を皮切りに、ちょうど四半世紀の間、欠かすことなく本学会の総会・学術集会に出席し、須崎紳一郎現代表理事や坂本哲也理事らと競って、歯に衣着せぬ辛辣な質問をしてきました。それもこの学会を愛し、レベルアップしたいという願いからでした。そして、救急医にありがちな好戦的な性格から、近年急速に円満化した私が平成最後の総会・学術集会で大会長を務めるとは時代の流れを感じざるを得ません。

今回の学術集会のメインテーマは“『わ』で挑む中毒”とさせてもらいました。中毒診療としては、現場での患者関係者の応急処置→現場から医療機関までの救急隊・救急救命士による初期対応→医療機関での医師・薬剤師・看護師・分析担当者などによるチーム医療と繋がる「輪」や、多職種が協働する「和」が重要です。学会としては、日本すなわち「和」や「倭」の力を世界に向けて発信することが重要です。そこで本学術集会では “「わー職種を超えて―」で挑む中毒(仮題)”や“世界に発信する「日本―わ―の中毒力(仮題)”と題するシンポジウムなどこのテーマに沿った企画を数多く考えています。中毒診療の「輪」は現場の応急処置から始まります。そこで、市民講座としても、ちょうど夏休みを迎える小学生を対象として“夏休みを前に集まれ子供たち!―海や山で危険な生物を学ぼう―(仮題)”と題して講演だけでなく応急処置を学ぶブースをスタンプラリー型式で回ってもらおうと考えています。私は、現在の日本中毒学会の大きな問題は、井の中の蛙で世界にあまり目を向けず、日本すなわち「和」や「倭」の力を世界に向けて発信できていないことだと考えています。私は、ここ数年の間に、志を共にする日本の仲間とアジアの中毒専門家との交流を進めてきました。アジア諸国では国家が中毒の臨床および研究の中核施設、すなわち「中毒センター」をバックアップしていて、そこから多くの業績を世界に発信しています。本学会が学ぶ点は多いと感じています。そこで、Jou-Fang Deng先生に台湾における中毒センターの現状(仮題)と題して特別講演をお願いしています。

このほかにも2020年東京オリンピックの前年であることから化学テロやアンチドーピング問題を扱った企画、日本毒性学会や日本総合病院精神医学会との合同シンポジウムなどの企画も考えています。それから何よりも数多くの演題を応募していただき、川越の猛暑よりも熱い討論を交わしていただきたいと思っています。職種を超えて多くの先生方に参加していただき記憶に残る学術集会になれば幸いです。

副会長挨拶

第41回日本中毒学会総会・学術集会 副会長:岸野 亨

今回、会長の上條 吉人 先生から副会長をせよと命を受けました、埼玉医科大学病院 薬剤部の岸野 亨です。
よろしくお願いいたします。
今回の学術集会のテーマは “ ~『わ』で挑む中毒~ ” です。
会長の上條先生の優しさと思いやりにより、いつも表に出ない(シャイで引っ込み思案な?)薬剤師を引っ張り出すために、またいつも何もしない私を、たまには何かをしろと副会長にしたのでしょう。
これも一つの『わ』だと思っています。
30年ほど前、病院薬剤師の仕事は薬剤部内での調剤でした。薬剤師は“井の中の蛙”で小さい『わ』の中にいました。
その後、臨床の場に薬剤師の仕事が広がっていき、中毒領域では中毒物質(医薬品)の情報、生体試料中薬物の分析等々で関わってきました。最近では、中毒診療・治療の現場で医師をはじめとする医療従事者の方々と共に薬剤師が仕事をしている施設も多くなってきています。
『わ』が大きくなってきました。

第41回日本中毒学会総会・学術集会を開催するにあたり、上條先生から、みんなで学術集会を作ろうと2年以上前から、多職種で準備委員会を開催し、会場探しから日程・企画まで皆で『わ』になって討論してきました。

さて、中毒を治療することは大変重要であります。
当然、皆で『わ』になって討論していただきます。
中毒の原因物質は医薬品、食品、化学物質等々ですが、原因の一部は、「知らないこと」、知っていても「中途半端であること」にあると思います。
何が毒か、そして摂取した後はどうなってしまうのかを良く知ることで中毒を未然に防ぐことができると信じています。また、それが中毒の治療に役立つはずです。子供の時からの啓蒙も大切でしょう。
そのために医療従事者も一般の方々も一緒になって大きな『わ』になり知識を吸収し、協力しましょう。

私は生まれも育ちも川越です。
生まれた街で、しかも自宅の近く(目の前)の「ウエスタ川越」で開催される今回の「第41回日本中毒学会総会・学術集会」です。
皆さまに「良かった『わ』。」と言ってもらえるような
また、皆さまが『わ』っと驚くような様々な企画を考えております。
たくさんの皆さまのご参加とご発表をお待ちしております
結びに、学会の前後は大いに「小江戸・川越」を満喫してください。

事務局
埼玉医科大学病院 
救急センター・中毒センター
花澤 朋樹(事務局長)
〒350-0495 
埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38
TEL: 049-276-1228
FAX: 049-276-1692
運営事務局
株式会社アイ・エス・エス内
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